NHK「ラジオ英会話」― 予約録音のすすめ
●決してサボらない
大学の学生寮で同室だった友人がいる。いまでも家族ぐるみで交遊している。高校時代に、英語のペーパーバックを100冊以上読んだという。夕方になると必ず、自分の専攻語でもないのに、ドイツ語・フランス語・イタリア語・スペイン語のNHKラジオ講座を聴いていたのを思い出す。趣味が高じて、ソルボンヌ大学にも留学した。卒業後の就職先では、各国語の通信文の翻訳を一手に引き受けていたそう。
彼の甥(おい)は、小4で「基礎英語1」を聴きはじめ、小6で「基礎英語3」を終え、中1からは「ラジオ英会話」を聴きはじめた。「聴くからには必ず聴け」が家庭教育のモットーだったので、決してサボらなかったという。家族で海水浴に行っても、夕方には海の家で番組を聴いていたそう。
塾や予備校に通うことなく、全国模試の英語では、常に成績優秀者欄の上位に名前が載っていたという。ストレートで一橋大学に進学した。3歳年下の弟も、兄と同様に「ラジオ英会話」を欠かさず聴き、やはりストレートで名古屋大学に進学した。
昔は、予約録音ができるラジオはなかったので、ナマ放送を聴くしかなかった。聞き逃すといけないので、そのぶん真剣に聴いていた。
●予約録音のすすめ
ナマで聴くのがいいとわかっていても、社会人になるとそうもいかない。
NHKラジオの「実践ビジネス英語」を聴いている塾のOB がいる。社会人になり、放送時間には聴けないので、毎月CDを買っているという。CD版は1,625円。毎月買うとたいへんな出費になる。
NHKのラジオ講座を聴きたいが、忙しくて聴けない。かといって予約録音できるラジオを買ってまで聴こうという社会人は少ない。
ラジオ番組を予約録音できるRadikoolという無料ソフトがある。スマホ用もある。左記のサイトからダウンロードでき、同サイトで、使い方まで懇切丁寧に説明してくれている。(Radikoolは「かつうら英語塾」の左記メニュー欄中段にもリンク:「ラジオ予約録音ソフト」)
NHK第2放送には、次の英語番組がある。
・「エンジョイ・シンプル・イングリッシュ」(月~金曜日) 午前9:10~9:15
・「基礎英語1」(月~金曜日) 午前6:00~6:15
・「基礎英語2」(月~金曜日) 午前6:15~6:30
・「基礎英語3」(月~金曜日) 午前6:30~6:45
・「ラジオ英会話」(月~金曜日) 午前6:45~7:00
・「英会話タイムトライアル」(月~金曜日) 午前8:30~8:40
・「攻略!英語リスニング」(土・日曜日) 午後0:40~0:55
・「入門ビジネス英語」(月・火曜日) 午前9:15~9:30
・「実践ビジネス英語」(水~金曜日) 午前9:15~9:30
・「英語で読む村上春樹」(日曜日) 午後11:00~11:30
・「ワンポイント・ニュースで英会話」(火曜日)午後1:15~1:20
・「Japan & World Update」(月曜日~金曜日)午後2:00~2:30
「毎週○曜日○○時」で各番組を予約設定すれば、自動録音されるので、設定は1度で済む。あれもこれも聴こうとするよりも、自分の好みにあった番組に絞った方が長続きする。
●番組の一例
「NHKラジオ英会話」(2017年2月9日放送分)は、こんなdialog(会話)になっている。
F: What can I do for you?
C: I’m Claire Watkins. Do you remember the person who sent me red roses?
F: As a matter of course I do.
C: Quite frankly, I’m mystified. Was his name Adam Caldwell?
F: I’m afraid I can’t divulge his name.
C: I see.
F: But I can vouch for his character. He is a real gentleman.
C: Okay, Thanks anyway.
F: いらっしゃいませ。
C: クレア・ワトキンズと言います。私に赤いバラを送った方を覚えていますか?
F: 実のところ、覚えております。
C: 率直に申して、当惑しています。その人の名はアダム・コールドウェルではなかったでしょうか?
F: 残念ですが、名前を明かすことはできません。
C: なるほど。
F:でも、お人柄は保証します。実に紳士的な方でした。
C: わかりました、とにかくありがとう。
divulgeやvouch forは単独では覚えにくいが、文脈があれば一気に覚えやすくなる。
花の贈り主を教えてもらおうと、女性が生花店を訪れる。そのときの店主の言葉は:
「名前を明かすことはできません。でも、お人柄は保証します。実に紳士的な方でした」
I can’t divulge his name. But I can vouch for his character. He is a real gentleman.
英会話は、単語を並べれば通じるわけではない。「アクセント」「イントネーション」「リズム」「ポーズ(間)」「感情」といった文字情報には現れない部分がたくさんある。
Okay, thanks anyway.
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この日の番組では、上記のセンテンスを取り上げ、ネイティブが10回くり返したあと、視聴者も10回くり返すコーナーがある。スピードを上げながら10回も繰り返すと、強弱も含めてまるごと身体で覚えてしまう。
番組の最後のフレーズが耳に心地よい。
Keep Listening,
Keep Practicing,
and Keep on Smiling
2017年2月24日