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「共通テスト」で受験生はIQが低下しメンタルを病む

by 勝浦 郡章

●時代小説で時間のバランス感覚を取り戻す

ときどき無性に時代小説が読みたくなる。それは、社会の騒がしいニュースや、個人的な慌ただしい日常を離れて、ゆったりとした時間の流れに浸りたいときである。

山本周五郎の『日本婦道記』を読んだ。山本はこの作品で、昭和18年の直木賞に推されたが辞退した。以後も、さまざまな文学賞を辞退したことでも知られている。

同書には31編の作品が載っている。どの作品にも、自分の生涯の幸せを犠牲にして他者の幸せに生きる女性が描かれている。これが武士の社会の日本女性の精神性である。どれも美しい日本語で綴られている。

あらすじだけを追って読んでいたのでは見えないものがある。せわしなく読んでいては、山本の描く日本人の美意識や心の原点に触れることはできない。ストーリーが展開する際に、脇に散りばめられた、いわばノイズのようなものの中にこそ味わい深いものがある。それは、ゆったりとした時の流れに身を任すことでしか味わえないものである。味わいとは、心の中にともる淡い、かすかであっても暖かい灯のようなものであり、読んだ後も長く続く静寂のことである。

山本は仕事について、こう考える。「男の一生はもちろん仕事であろう。けれども男に仕事をさせるのは妻であり、妻によって伸びも縮みもする」。同書の『風鈴』の最後の件で、夫は妻に、こう語りかける。「たいせつなのは身分の高下や貧富の差ではない。人間として生まれてきて、生きてきたことが、自分にとってむだではなかった、世の中のために少しは役立ち、意義があった、そう自覚して死ぬことができるかどうかが問題だと思う、……死ぬときには、少なくとも惜しまれる人間になるだけの仕事をしてゆきたいと思う」。口数の少ない温厚な夫から、この言葉を聞き妻は慚愧(ざんき)で、からだが震えるのを抑えることができなかった。

●「共通テスト」で精神に不調をきたす

文章をゆったりと味わう経験と、最も遠い位置にあるのが「共テ」である。「思考力を問う」とは、名ばかりで、その実態は、膨大な設問を限られた時間内に処理させる試験である。立ち止まり、考え込んでいては、到底最後までたどり着けない。

思考力を問うものでないとすれば、何を問うているのか。それは処理能力である。「処理が速い」は、本来、人間ではなく、機械の性能をいうのに用いる言葉である。高得点を狙うには、もたもたしていては、おぼつかない。必要とされるのは、条件反射のような瞬発力である。その反射神経を鍛えるために、「共テ」本番の1ヵ月以上も前、12月の段階で、通常の授業は脇に追いやられる。高3生は「共テ」で、即答できるように練習に明け暮れる。

そこには知的な刺激はない。大量の問題を速く処理する練習を繰り返す。その中で受験生の精神は確実に病んでいく。じっくり物事を考えようとしなくなるから、IQも確実に低下していく。歯車の上をひたすら走るハツカネズミのようなものだ。どんなに走っても、どこにも向かわないのだ。10年後に、この作業を振り返り、ああよかったと、これを賞賛する受験生などいないだろう。

もし、あなたが「共テ」など大嫌いだ、と思っていたら正常だ。自分を褒めよう。なぜなら、健全な精神の持ち主であることの証だからだ。「共テ」の解答は四択のマークシートである。記号が合いさえすれば得点できる。分からなくても、どれか選んでおけば得点できる。当たれば儲けものという考えを助長する。こんな試験で、人間の持つ誇り高き精神や知性は、ひとかけらも測ることはできないのだ。

私が受験生だった半世紀前、国立大学の入試は3月3日、4日と決まっていた。したがって授業は2月末まで通常どおり行われ、教室で席を空けるのは、せいぜい一部の私大受験生に限られていた。

ところが今、高3生に与えられている授業時間は、本来11ヵ月あるはずのものが、「共テ」対策に吸い取られ、実質8ヵ月にまで削られている。教師が「教える」という役割を放棄しているのである。生徒に「共テ」の練習問題を配るだけで、他は何もしない教師がいたら、私の目には教育者ではなく、ぐうたらな怠け者にしか映らない。未来を担う若者を育てようという気概は見えない。

●我先にという奪い合いの生存競争

今から10年ほど前、家族で上海を訪れた。高松空港からLCCを使えば、東京へ向かうよりも安い運賃で行けてしまう。プートン国際空港から市街地までは地下鉄で約1時間半。ようやく目的の駅に到着し、降りようとしたその瞬間だった。

ドアが開くや否や、プラットホームにいた乗客が雪崩を打つように車内へ流れ込んできたのだ。押し寄せる人波を必死にかき分け、こちらも体をねじ込むようにして、やっとの思いでホームに降り立った。

列車が到着するたび、何両も連なるすべての車両のそれぞれのドアで、同じ光景が繰り返されている。ほんの些細な非効率に見えることでも、それが寄せ集まり、たび重なれば、経済的な損失は計り知れない。

日本では、光景がまるで違う。プラットホームで列車を待つ人々は、誰に促されるでもなく自然と列をつくり、降車する客がすべて降り切るのを静かに待ってから、順に車内へと足を運ぶ。規則があるわけでも、誰かに教え込まれたわけでもない。それでも、人を押しのけて我先に乗り込もうとする者はいない。こうした振る舞いこそが、日本人のモラルであり、日常に溶け込んだ日本文化なのである。

一方、人口2500万人を擁する過密都市・上海は、どこへ行っても人波にあふれていた。そこで面食らったのが、列への割り込みである。最初に違和感を覚えたのは、後ろに並ぶ人が遠慮なく体を寄せ、ぐいぐいと押してくることだ。人には本来、快適と感じられるパーソナル・スペースがある。しかし、その距離感があまりにも近いのだ。後になって知ったことだが、中国では「割り込まれる方が悪い」とされ、割り込んだ側に理があるらしいのである。こうした発想を敷衍(ふえん)すれば、「人をだますより、だまされる方が悪い」「盗むより、盗まれる方が悪い」という論理に行き着いてしまう。

●全国規模の「共テ」は、みっともない

過度な生存競争が生む奪い合いは、決して美しい光景ではない。大学入試は、ゲームやスポーツの勝敗とは本質を異にする。その合否は一時の結果ではなく、その後に続く人生の分岐点となるからだ。合格者は歓喜し、不合格者は落胆する。だが、勝者の喜びは、常に敗者の悲しみの上に成り立つ。他者の失意があっての喜びを、美しいと呼ぶことはできない。

では、その運命を分ける点数とは何なのか。いかに客観性を装おうとも、その実態は恣意的な数値にすぎない。英語と数学の点数を合計することは、身長と体重を足し合わせることと変わりない。それがどんなに馬鹿げた行為であっても、結果としての数字だけが独り歩きをする。人の価値までも測ったかのような顔をして、進路と人生を振り分けていく。

競争はどの社会にも存在する。だが、国家が主導して競争を煽り立てるのは、全体主義国家がやることである。同じ日の、同じ時刻に、50万人もの若者が一斉に同一の問題に向き合う光景は異様である。教育が掲げる個性、多様性、創造性の尊重とは、あまりにもかけ離れている。

それは、一歩でも速く列車に乗り込み、人を押しのけてもでも座席を奪い合う、かの国の光景と重なる。マスコミはそれを冬の風物詩のように無邪気に報じるが、実際にはみっともなく、国際的に見れば、恥ずかしい光景である。じっくりと物事に向き合い、熟慮を尊ぶ日本人の精神性とは相容れないのだ。

ウインストン・チャーチルは第二次世界大戦を指揮した英国の首相で、酒豪としても有名である。こんな名言を残している。「酒に奪われたものよりも多くのものを、私は酒から得た」。これを「共テ」に当てはめれば、「『共テ』で奪われるものは多くあるが、得るものは何もない」となる。

2026年02月08日

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