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「フォーリン・ローリング」――ディクテーションの快感

by 勝浦 郡章

●ラジカセと英会話

数十年前、『NHKラジオ英会話』のスキットをディクテーションしていた時期がある。まだカセットテープが主役だった時代である。ラジカセに15分の番組を録音し、スキット――およそ1分、300語ほどの会話文――を書き取っていた。ディクテーションは、耳を研ぎ澄ませ、一つひとつの音を拾い上げる、集中力のいるリスニングの訓練である。

その際に、煩わしかったのがラジカセの操作だった。巻き戻しのたびにテープが行きすぎたり、戻り切らなかったり。停止ボタンを押すタイミングが少しでもズレると、やり直す。聞き取れない箇所を聞き直そうとするたびに、こうした機械との格闘が始まる。

結局、このディクテーションの練習は長続きしなかった。理由ははっきりしている。ラジカセの操作が煩わしかったうえに、スキットの300語の長さも、当時の私には手に余った。番組は5日間に分けてスキットを取り上げていたから、1日当たりの語数は60語ほど。それでも毎日続けるには、長すぎた。

それ以来、ディクテーションのことは、その効果が絶大であることを知りながらも、あの煩わしテープの巻き戻し音とともに、すっかり記憶から消え去っていた。

●フォーリン・ローリング

ニュース記事を読むとき、人名や地名の読み方に迷うことがある。そんなとき、AIの力を借りる。使っているのはDeepLだ。画面左下のスピーカー・アイコンをクリックすると、AIが自然な発音で読み上げてくれる。この「読み上げ機能」を使っているうちに、ふと気づいた。――これはディクテーションに使える、と。

レアジョブのオンライン英会話を始めて9年目になる。レッスンで扱うニュース記事の冒頭には、5つの重要単語が載っている。それぞれに意味と例文があり、その例文の長さは、15〜20語ほど。集中力を保ったまま書き取り練習をするには、ちょうどいい長さなのだ。

1文――20語程度――をコピーする。それをDeepLに貼り付ける。左下のスピーカーボタンをクリックする。音声が流れ出す。音声はナチュラル・スピード。かなり速い。スピード調節機能はない。5、6回聞いて、やっと主要な単語が拾える程度だ。さらに繰り返し聞いて、ようやくセンテンスの体裁が整う。

しかし、完璧ではない。まだまだ不備がある。「the」か「a」か。あるいは、「an」か「un―」か。とりわけ「and」か「in」かは、極めて紛らわしい。文字として目で見れば、読み違えることはあり得ない。しかし、音を耳だけで聞くと、「アン……」「イン……」「エン……」と、どれももっともらしく聞こえる。しかも、「in doing……」であっても「and doing…… 」であっても、文脈としては通じてしまうから厄介である。

こんなこともあった。耳で聞くと、「フォーリン・ローリング」に聞こえる。何ど聞いても、「フォリン・ローリング」に聞こえる。意味不明だか、仕方なく、“foreign rolling”と綴る。後に続く部分は、ほぼ正しく聞きと取れている。動詞makeに「三単現のs」が付いてないから、“foreign rolling”は、makeの主語ではないと推測できる。そうであるなら、命令文である可能性が高い。

しかし、何度聞いても、「フォーリン・ローリング」としか聞こえない。「フォーリン・ローリング」の部分だけに絞って繰り返し聞いてみる。ラジカセと違って、こういう操作が、PCだと簡単にできる。だが、結果は同じである。やはり「フォーリン・ローリング」としか聞こえない。いったんこうだと思い込んだら、そうとしか聞こえなくなる。――悲しいかな、人間の耳や脳はそうなっているのだ。

今度は、文脈から推測する。「フォーリン・ローリング」の後は、こう続く、「foreign rolling、修了証が就職活動で有効になるように、そのコースが認定されていることを確認しなさい」

ここで、ものを言うのが“読解力”である。リスリングは、単に耳の善し悪しの問題ではない。まるでクロスワード・パズルを解くように、「こういう音で、こんな意味になるには……」と、仮説を立てる。試行錯誤を重ねる。――このプロセス自体、結構楽しめる。格闘の末、行き着いた結論は、「ビフォー・エンローリング(before enrolling)」である。これで、文脈とも完璧に一致する。思わず唸るほど納得する。自分で自分の能力を自画自賛したくなる。感動の瞬間である。

――これこそが、学習の喜びである。他者の評価など不要である。自らの成長を感じ、自らを称えるのである。試験という他者の物差しに振り回される受験生は気の毒である。「試験の点数」は、「学習の喜び」とは無縁である。

以下が、ディクテーションでつまずき、格闘した文である。

Before enrolling, make sure the course is accredited so your certificate will be valid for jobs.
(登録前に、修了証が就職活動で有効になるように、そのコースが認定されていることを確認しなさい)

●ディクテーションには心のゆとりがいる

「フォーリン・ローリング(foreign rolling)」が「ビフォー・エンローリング(before enrolling)」であると見抜くには、さまざまな資質が求められる。忍耐力、集中力、聴力、文法力、読解力、そして社会経験――どれも欠かせない。しかし、何より必要なのは、「時間のゆとり」だ。

“ななめ読み”や“とばし読み”はあっても、ディクテーションに、“ななめ聞き”や“とばし聞き”はない。音声を一字一句、文字として書き取る作業に、妥協の余地はない。わずか5つの短文であっても、不明な箇所に手こずっていると、あっという間に20分以上かかってしまう。

現代社会は、ますます慌ただしさを増している。四六時中、時間に追われていては、ディクテーションに、じっくり取り組むことなど到底できない。時間に余裕がなければ、耳も心も閉ざされる。納得がいくまで同じ箇所を繰り返し聞き、音の一粒一粒を確かめていく――その営みには、静かな集中と心の余白が必要なのだ。

最近になって、「and ……」と「in ……」の聞き分けを要する文脈が、思いのほか多いことに気づいた。ディクテーションを始めて3ヵ月目になる。毎日の訓練で、リスニング力は着実に向上している。

2025年11月7日

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