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「ちゃんとやればうんと伸びますよ」の愚

by 勝浦 郡章

●教師の文章

以下は、ある高校の校内模試の「講評」の書き出し部分である。

―冬休みはいかがでしたか。2年の冬ということもあり、多くが学習に積極的であるのは目つきからわかります。質問に来る人も増えました。

大学受験に向けて準備をすることと校内テストに向けて準備をすることは本質的に変わりありません。今回の実力テストで今までの勉強の成果が出た人もいれば、そうでない人もいるかもしれません。

英語は毎日の積み重ねが大切です。すぐに結果が伴うわけではないので、心が折れそうになるかもしれません。テストを丁寧に見直し、苦手な部分をコツコツ毎日学習してください。

3年生の夏休みまでに、今持っている紙辞書と参考書をボロボロにしましょう。そのくらい真剣に向き合ってください。1年間ちゃんとやればうんと伸びますよ。―

これを要約すれば、「英語は1年間ちゃんとやればうんと伸びますよ」である。

何とも間の抜けたダルい文章である。何の論拠も実例も示さずに、「ちゃんとやればうんと伸びますよ」は、誰の心にも響かない。「1年間ちゃんと働けばうんと稼げますよ」と同じくらい空疎である。

公の場に文章を発表する自覚と責任がない。教師としての重みも威厳もない。教える側の教師が、生徒と同じIQレベルでは、人に物を教えることはできない。

●氷山理論

ヘミングウエイは、いわゆる『氷山理論』で、こう言っている。

「作家は、自分が書いている事がらについて十分に知っている場合には、自分の知っていることを省略してもよい。作家がほんとうのことを書いてさえいれば、読者は、省略しないで述べた場合と同じく強烈にそれらの事がらを感得するものである。氷山の動きに威厳があるのは、その8分の1しか水面に現れていないからである。物事を知らないために省略する作家は、自分の書いたものに穴ぼこをこしらえるだけである」

要するに、ある文章を読んで、「その書き手が、ある事がらを十分に知っていて書いてないか、知らないで書いてないか」を、読者は見抜くということである。

目に見えるリアリティだけがリアリティではない、目の当たりにする物理的リアリティの背後には、とてつもなく大きなリアリティが潜んでいて、それが現実のリアリティを支えているのである。それは「威厳」という目には見えないエネルギーを放ち、見る人の心を打つのである。

●黒澤明の手法

黒澤明は世界的に名声を博した映画監督である。ジョージ・ルーカスやスティーブン・スピルバーグといった巨匠が黒澤を崇拝している。

こんなエピソードがある。ある部屋のワン・シーン。調度品にタンスがある。タンスの引き出しを開ける場面などない。だが、黒澤の指示で、引き出しの中には衣類が丁寧に収納されていたという。

映画・『椿三十郎』のラスト・シーン。三船敏郎と仲代達矢の二人の剣客が対決する。加山雄三ら若手の侍たちは三船敏郎を師と仰ぐ。彼らが固唾をのんで行方を見守るなか、勝負は一瞬にして決着する。両者が剣を抜くやいなや、仲代達矢の腹から、おびただしい量の血が噴き出す。息を呑むド迫力である。

このときの撮影現場は、辺りいちめん血の海で、生臭い血の臭いが漂っていたという。白黒映画だから、血は黒い液体を代用すれば済むことである。だが、黒澤はこのワン・シーンのためだけに大量のニワトリの血を集めて使ったといわれている。

●自分への戒めとして

人間は怠惰な生き物である。誰にも分からなければ、まあいいかと、手を抜こうとするのが性である。仕事をしていて、ややもすると手抜きをしようとする自分への戒めとして、ヘミングウエイの『氷山理論』を、私は座右の銘の一つにしている。

The dignity of movement of an iceberg is due to only one-eighth of it being above water.

まともに英語習得に取り組んでいる人間なら、「ちゃんとやればうんと伸びますよ」 などという軽薄な言葉は使わない。

やってもやっても伸びないのが英語学習である。「停滞しているのかも」「いや、ひょっとしたら後退しているかも」と、さえ思うことがある。それでもチャレンジし続けるのが英語習得への道である。

「努力は裏切らないは嘘。何度でも裏切られる。だが努力以外に術はない」は、全米チアダンス選手権大会で優勝した福井商業高校・顧問の言葉である。日本の片隅にある田舎の高校が、本家本元のアメリカを制覇したのだから驚きである。

実際の体験に基づくこの言葉には力がある。胸を打つ。映画・『チア☆ダン』では、天海祐希がその顧問役を演じていた。天海祐希の発したこの言葉は、スクリーンの前にいた観客の心を、間違いなくわしづかみにした。

2024年2月5日

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