やさしくたくさん
やさしくたくさん ─『英語はやさしくたくさん』
サンポート高松(2010年6月27日)で、伊藤サム氏の講演を聴いてきた。
タイトルは、「ニュースで英語、入門から特訓まで」
伊藤サム氏は、ジャパンタイムズ紙の元編集局長
現在、NHK『ニュースで英会話』講師
ニュース英語の日本での第一人者
一橋大学在学中に英検1級を取得、合格者総代に
同氏のサイトには、英語学習のヒントがこれでもかというほど載っている。サイトの膨大な情報量に、英語教育への同氏の並々ならない情熱を感じる。
私が伊藤氏を知ったのは、10年ほど前に読んだ『ネイティブに通じる英語の書き方』がきっかけだ。チュンプルズの「英作文の心得」の中のKISS (シンプルに書け) は、同書からの引用だ。
伊藤氏は、英語上達のコツとして「やさしくたくさん」を提唱している。
以下は、「やさたく」の要略。
- プライドを捨て、レベルを中1程度の英語に落とせ
- 教材のレベルは、半端でなく、ぐーんと下げること
- やさしい英語なので、どんどん接するうちに英語を英語のまま受け入れるようになる
- やさしいから楽しい
- 英会話の正体は、基礎英語の高速度でのやりとり
- 基本構文は暗記するまでたたき込め
- 基礎表現は使用頻度が高いのですぐに役立つ
- SVOやSVOCは、知識でなく体得していないと使い物にならない
- やさしい本だから何冊読んでも苦にならない (身長の2倍を目標に)
- 教材は絵があるものがベスト。音声は感情がこもっているものがよい
- 基礎の基礎は発音。言葉の実体は音。発音の基礎が固まっていないと上達は遅い
- 難解な語句をたくさん知っていても、やさしいことをスラスラ言うことはできない
- CDをエンドレスに回し続ける。聞くつもりがなくても人間は無意識に聞いている
- やさしいレベルの英文を大量に聴いた経験があるかないかが、英語力を左右する
- ×練習で声をださない ×基礎力軽視 ×難解な教材志向
- 英会話が出来ないとこぼす人はいても、中学英語からやり直す人はいない
- 基礎をマスターしないうちに上級教材に走ると伸び悩む
- 大学に留学するよりも、小学校に留学した方が英語力は伸びる
- 知らない単語が、ほんの少しだけ混ざっている英語に接するとき、最も英語力が伸びる
- 一流のプロを目指す人は、徹底的に基礎を固めよう
- NHK講座など、スタンダードにする教材を一つ決め、徹底的に繰り返す
- 知識としてやさしくても、何度も繰り返して練習しないと「使える」英語にはならない
講演会後の懇親会で、伊藤氏にこんな話をした。「科学技術の発達とともに地球はどんどん小さくなる」という和文英訳の問題で、10人が10人、次のような英文を書くと。
The earth is getting smaller and smaller.
伊藤氏は、おもしろそうに両方の手のひらで丸いカップを作って、にこにこ笑いながら、丸い球がギュッギュッと縮まる仕草をしていた。
正しくは、The world is getting smaller and smaller.
『英語はやさしくたくさん』 のなかで、同氏はこう言っている。
英単語と日本語は、一対一でマッチしていない。とくに基礎単語では、ほとんどマッチしてない。やさしくたくさんの英文をとおして、同じ単語に何度も接することで、その単語の意味が直感的につかみ取れるようになる。単語の丸暗記の勉強法が、誤解を生む日本語英語の温床になっている。
「やさたく」で、以下のような英文は、どこかおかしいな、と感じられるようになる。
- 英語を自由に話したい × I want to speak English freely. → I want to speak English well.
- 男友達がたくさんいる × I have many boyfriends. → I have many male friends.
- 毎日が新鮮です × Every day is fresh.→ Every day is exciting.
「やさたく」とは、超やさしい英語をたくさん
聞いたり読んだり(話したり書いたり)し、
だんだんレベルをあげていくこと。
私は、「やさたく」の刺激で、以下のCD付きの教材を3冊購入した。
CDのかけっぱなし → 音読 → 暗唱と、フル活用してみようと思っている。
2010年7月21日