通信講座のご案内
1.通信講座はこんな人にお勧め
●『英標』をきちんと読みたい人
テキストの『英標』については、このページの最下段を参照。
辞書を引いても、文法書を調べても、『英標』は読めません。掲載されている全220編について、疑問点を余すところなく、つぶさに解説していきます。
難解な英文を精読することで、英文法が習得できます。
英語という外国語と格闘することで、母語としての日本語が磨かれます。これは、言葉が磨かれ、思考が磨かれ、行動が磨かれることを意味します。豊かな日常を創造することに他なりません。
●高校生と一緒に学ぶことに抵抗がある人
ライブ授業で、当てられて答えられないと、社会人としてのプライドは傷つきます。いつ当てられるのかとビクビクすることなく、リラックスして受講できます。
通信講座であっても、編集していないので、ライブ授業と同じ、ホットな臨場感と緊張感が味わえます。
ホワイトボードに板書することがらは、ほぼすべて拙著『チュンプルズ』に載っています。板書は見えなくても、どのページに何が載っているかを、その都度、伝えています。新たに板書することがらがあっても、通信受講生にもわかるようにしゃべっています。
●英会話に行き詰まっている人
「CDを聞き流すだけで、空港のアナウンスが聞き取れるようになった」、という詐欺まがいのテレビCMがありました。テレビCMだからといって、新聞報道だからといって、鵜呑みにはできない。『新聞記事が幻想をふりまく』
空港のアナウンスは、「便名」「行き先」「出発ゲート」「出発時刻」しか伝えていません。消防車のサイレンと同じで、こんなものは聞こえて当たり前です。リスニングの訓練などいりません。万人に分かるようにしゃべっているのが空港のアナウンスです。そこには、関係代名詞も、分詞構文も、仮定法も登場しません。
英会話ができるという人でも、あいさつ程度の英語であったり、英単語を並べるだけというレベルの人がたくさんいます。that節が使いこなせなくて、何が英会話でしょう。内容のある英語をしゃべることなど不可能です。
試しに、次の文を英文に直してください。これが瞬時に言えることが、英語がしゃべれるということです。
①彼女は何歳ですか。
②彼女が何歳かを知っていますか。
③彼女は何歳だと思いますか。
④彼女は、私が彼女のことを何歳だと思っているかを、私に聞いてきた。(間接話法で)
それぞれ、①は中1レベル、②は中3レベル、③は高1レベル、④は高3レベル。(答えは、このページ最後尾)
④のレベルになると、英文法がよくわかってないとしゃべれません。
普通の公立高校に、普通の偏差値で入学した塾生OBの物語を紹介しておきます。『ア・ビッグ・ファン・オブ・カツウラ』『終わりなきアップデート』
この2点の体験記からわかるように、英文法を学ばずに、英語をしゃべろうというのは、虫のいい話です。裏を返せば、英文法をきちんと習得し、その後4年間、1日たりとも欠かさずオンラインレッスンを受け続ければ、一流企業の役員が太鼓判を押すほどの英語力を身につけることができるということです。
英文法を無視して英語をしゃべろうというのは、ザルで水をすくうようなもの。労多くして功少なし(All pain and no gain.)です。
●大学の授業について行けない大学生
何年も前のことです、国立大学の大学生に、大学のテキストの翻訳を頼まれました。期末試験の教科書が読めないのです。専門書ではなく、たんなんる英語の教科書です。
AO入試や、マークシートの総合点だけで合格すると、英語ができなくても大学に入れます。しかし、英語ができないのに大学に進学して、苦しむのは本人です。大学側も持て余しています。
大学が行う補習授業では間に合わず、英語の単位が取れずに退学になった話も聞いています。
いまさら、塾にも通えません。中学生や高校生と一緒に勉強もないでしょう。通信教育なら、人知れず自分のペースで学べます。
指導実績のある専門家から、体系的で的確な指導を受ければ、効率的に英語は習得できます。
「読む」「書く」「聞く」「話す」の4技能で、「読む」ことこそ基本です。しかるべき指導を受ければ、苦痛でしかなかった英文を「読む」ことが、楽しさに変わります。
受講を通して、楽しさを感じ始めたら、しめたものです。楽しさは、成長の兆しであり、知的満足の証であり、生命の躍動です。英語コンプレックスを克服するのは時間の問題です。
勇気を持って1歩を踏み出せば、英語から逃げてばかりの人生に終止符が打てます。1人でも多くの英語難民を救いたいと考えています。
●プロの教師
英語教師は、公立中高だけでも5万人います。これに、私立校、塾、予備校、大学の教員数を加えると、10万人は超えるだろうと思われます。
それぞれの教師の教え方は、ベールに包まれています。他の教師の、よそ行きではない日常の授業をかいま見る機会は皆無です。
人間は保守的です。たいていは、「自分が教わったように教えている」と、考えられます。それがベストかどうかはわかりません。しかし、常に教授法のスキルアップを図り、試行錯誤を重ね、技術を磨いていくのがプロです。
同業他者の授業形態を知るチャンスがあれば、私なら真っ先に申し込みます。他者の授業を参考に、「これはウマイ」「これはヘタ」と、自分より優れていれば取り入れ、劣っていれば反面教師として学び、自分の教授法につなげます。
10年以上も前のことです。ある英語塾が、時間給2万5千円で、講師を募集していました。何年も続けて募集していたので、塾長の目にかなう人材は、なかなか見つからなかったのでしょう。友人の予備校講師の年収は数千万円でした。言いたいのは、有能な教師はまれで、社会で必要とされるその価値はとてつもなく高いということです。
教員免許を取ったからといって、英検1級に受かったからといって、有能な教師ではありません。学び続けてこそプロです。
●英語習得の道は、果てしなき道程であることを認識している人
書店には、英語学習の本が、英会話の本とともに、これでもかと並んでいます。これからも並び続けると思います。英語習得には、近道も、終着点もありません。
Learning a foreign language is a job which is never finished.
これは、シュリーマン(『古代への情熱』著者)の言葉として、同時通訳者の國弘正雄先生が引用されていたフレーズだと記憶しています。
英語習得には、山また山が続きます。ややもすると巨大な山につぶされそうになります。学習者は、常に前向きに自らを鼓舞する必要があります。このことは、まさに人生を生き抜く姿と重なります。
自分にはムリと思ったら、そこでゲームオーバーです。その時点で、もう1ミリたりとも前には進みません。自分にはムリは禁句です。ブレーキをかけるのではなく、アクセルを踏み込み、エンジンをふかし続けなければなりません。
わずかではあっても日々の進歩を喜び、蝸牛のごとく歩んでいくプロセスを楽しめる人が真の学習者です。
Studying is like a marathon. Once you stop, it gets harder to start again.
マラソンと同じで、いったん立ち止まると走れなくなります。週1回送られてくる音声ファイルは、くじけそうになる学習者の良きペース・メーカーになります。
1回1回の授業は、英語学習のためのヒントが、至るところにちりばめられています。学歴や能力や年齢は関係ありません。若き学習者と共に学ぶことで、インセンティブ(刺激)を受け、モチベーション(やる気)が維持されます。
2.受講生の声(通信講座)
3.受講料
・入会金 2万円(チュンプルズの代金に充当)
・月額受講料 1万円(教材費等は不要)
・月4回(週1回)、ライブ授業を録音した「音声ファイル」をメールで送付
・教材はPDF(ポータブル・ドキュメント・フォーマット)をメールで送付
・「音声ファイル」は、3日以内にダウンロードすれば、永久に保存でき、何度でも聞けます。
・質問は、メールか電話でお答えします。
Amazonのカスタマー・レビューに投稿した記事
『英標』はエネルギーを放射し続けている
『英文標準問題精講』、通称『英標』の発行は1933年。累計発行部数は1,000万部を超える。受験参考書としては異例のロングセラー。書店では今も平積みになっている。受験参考書だが社会人にも根強い人気がある。
教養書として手にする人もいれば、受験時代を懐かしんで購入する人もいる。あるいは英文の読解力を鍛えようとチャレンジする人もいる。
気軽に読める本ではないが、手元に置いておくだけでもいいと思わせる魅力がある。そうそうたる作家のナマの原文が、強烈なエネルギーを放っている。すごみのあるサビの部分は人を惹きつける。
掲載されているのは220編だが、その背後には著者が読破した何百冊もの原書の山があるはず。著者の原仙作氏は、20代で同書を書いたと言われているが、1933年という時代を考えると、著者のケタはずれの洋書の読書量には驚くしかない。
洋書だけでなく、和書の読書量も尋常ではないだろう。みごとな訳文から、豊富な読書量に裏打ちされた、著者のゆたかな国語力にも驚かされる。例題96は『老人と海』の一節。訳文は、福田恆存(新潮文庫)の翻訳文と照らし合わせても遜色がない。
『英標』の英文は古いという批判があるが、古いのは1カ所のみ。練習問題【8】で、ニュートンが、やんちゃな愛犬ダイアモンドに話しかけるくだり。
“Diamond, thou little knewest the little mischief thou hast done!” ※ thou(you)/ knewest(know)/ hast(have)
ニュートンの時代の英語だから17世紀のもの。それ以外は普通の現代英語だから批判は当たらない。そもそも漱石や鴎外が明治の作家だからといって、その文体を古いといって非難する人はいない。
ほんの一例だが、こんな内容を原文で味わうことができる。
練習問題【17】は、ヘミングウエイの「氷山理論」のエッセンス。表面に現れているモノだけに目を奪われていると本質を見落とすという教え。
練習問題【20】は、ニュートンの有名な一節。この箇所を原文で読むだけでも『英標』を購入する価値がある。この文では、andがつないでいるものをたいてい見誤る。英文の構造はむずかしい。
練習問題【39】は、自己啓発書の古典。もし自分自身を愛することができなければ他人を愛することはできない。その理由は……。
練習問題【49】は、芸術家論。世間に認められたがる独創的な芸術家は愚かである。なぜか。
練習問題【102】は、ヘレンケラーが、はじめてwaterという言葉を獲得したときの感動的なくだり。そのとき、ヘレンの内面ではどんなセンセーションが起きたのか。
●読み通せる読者は1%もいない
掲載されている英文は総じてむずかしい。その解説もかゆいところに手が届くものではない。系統樹のような英文の解剖図がところどころに示されているが、これがわかる受験生はだれもいないだろう。
このツリー状の系統樹はチョムスキーの変形生成文法を連想させるが、この時代、チョムスキーはまだ世に現れていないから詳細はわからない。いずれにしろ無用の長物であることに変わりない。ただ、著者が言語学にも精通していたことをうかがわせる。
延べ1,000万人が同書を手にしていながら、それが正確に読める読者は限られている。昨今の文法軽視のカリキュラムで育った高校生や大学生、あるいは教師も含め、同書を読み通す能力のある読者は1%にも満たないだろう。
このことは、全220編について、のべ数十回の講義を塾生に行ってきた指導者として、また個人的に同書の音読を350回くり返してきた一学習者として断言できる。
●文科省の責任は重い
中学・高校と6年かけて英語を学んでいながら、偉大な思想家や大家の文学作品を原文で味わうことができないとすれば、その文化的な損失は計り知れない。センター試験の点数に一喜一憂したり、マークシートの練習にうつつを抜かしている間に、われわれは教養をたしなむ資質を奪われてしまった可能性がある。
1,000万人もの購入者が同書を読みたいと挑んでも途中で投げ出してしまう現実は何を意味するのか。「スピーキング」に偏重した英語政策は、止むことのない「読解力」の低下を引き起こしている。おおぜいの読者のまじめな学習意欲に応えることのできない英語教育とは何なのか。
1979年に始まった共通一次試験は、1990年に入試センター試験と名を変え、2021年には共通テストとなる。この間、2006年にはセンター試験にリスニングが導入された。
悪手を打ち続ける文科省の英語政策は、受験生の読解力の低下とピタリと相関している。失われた40年を取り戻すには同じく40年を要するだろう。誤った英語政策のツケを回される国民はたまったものではない。文科省の責任はとてつもなく大きい。
Reviewed in Japan on November 4, 2020
英作文の解答:
①彼女は何歳ですか。
②彼女が何歳かを知っていますか。
③彼女は何歳だと思いますか。
④彼女は、私が彼女のことを何歳だと思っているかを、私に聞いてきた。(間接話法で)
①How old is she?
②Do you know how old she is?
③How old do you think she is?
④She asked me how old I thought she was.
2022年1月7日