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精読なくして速読なし (特別寄稿)
Y・Y 京都大学法学部卒 (Y法律事務所 弁護士Y・Y)
1997年に、「おんにこにこにっこりそわか」という体験記を投稿した卒業生です。あの体験記は京大在学当時、勝浦先生に送ったメールを元にしたものです。それがきっかけでこの「体験記」コーナーが始まったとのことです。そもそも公表されることなど意図せず、勝浦先生に伝えたい勢いのみで送った私信なので、その後の皆さんの体験記に比べ、幼稚な内容を恥ずかしく思っています。
先日、私の法律事務所に勤務する、あるお母さんから、英語が苦手な次男(高2生)を何とかしてやりたいとの相談を受けました。私の受験当時の参考書であれば紹介できますが、現在の受験事情など知る由もありません。当時と変わらず、すすめられるに違いないと思えたのは『チュンプルズ』ぐらい。勝浦先生の厳選した問題に取り組み、授業に出席してこそ真価を発揮する『チュンプルズ』ですが、静岡県在住では、かつうら塾に通うわけにもいきません。それで『チュンプルズ』だけでも紹介することにしました。
最近は、「精読」できなくても「何となく読める」でよしとする風潮があると聞きます。「何となく読める」レベルの文章しか読めないのでは、英語学習として明らかに不十分です。高校卒業以降に遭遇する、日本語でも難解であろう専門分野の文章は、文法的理解、構造的理解なくして、正確には読めません。
私がかつうら塾に通い始めた当初、勝浦先生のノウハウは、まだ1冊の本という形にはまとまっておらず、授業後に、かなりの時間を費やしてノートにまとめ直していった記憶があります。HPを確認すると、『チュンプルズ』は1993年発刊とありますが、『チュンプルズ』という名称になったのは、1997年以降とのこと。
私は、入塾が遅かったため、授業の密度や速度に苦労し、復習の際も辞書や参考書を片手に、懸命に復習用ノートを作っていった記憶があります。授業の内容が知的刺激に満ちていたので、その復習もまた楽しいものでしたが。その後、『チュンプルズ』という形になり、「良くも悪くも」、楽になったように記憶しています。
『チュンプルズ』は、当時から、英語学習のエッセンスが凝縮された好教材でした。ただ、当時はまだまだ授業でしか得られない知識、ノウハウの方がかなり多かったように思います。最新版は、そういったものも取り込み、大きく進化したことが、目次を見ただけでわかります。そこで、先の高2生の分とは別に、私の分も依頼しました。届くのが楽しみです。
『チュンプルズ』の内容がより進化したということは、授業では、さらにその上、その先のことをやっているはずです。《現役塾生たちがうらやましい》
外国語である英語の「精読」を通じて、日本語の読み方が変わり、ひいては、書き言葉、話し言葉、考える言葉(思考力)も変わるというのが、体験記「おんにこにこにっこりそわか」で言いたかったことです。何となく読めてしまう母国語ではなく、外国語だからこそ学べること。この学び、気づきこそ、かつうら塾での最大の収穫です。文章の正確な理解と、そのための精読の技術は知的生産の土台であり、出発点です。
現在は、専らドメスティックな案件が中心ですが、かつうら塾での「英文精読学習」を通じて養われた読解力は、その後も私を支えてくれています。
一つ後悔していることがあります。大学合格後すぐに、英語力がピークの状態にあるうちに、英検・TOEIC等を受けなかったことです。もっとも、「受験時が英語力のピーク」などと考えるのではなく、その後も英語力は伸ばすべきなんですけどね。
おんにこにこにっこりそわか。
2015年10月19日