「妄信」ではなく「猛進」

 

I・N(2020年・高松高校卒)京都大学工学部情報学科

「よし!」

合格者一覧に受験番号を見つけた瞬間、思わずこう叫んだ。それと同時に重くのしかかっていたプレッシャーから解放された。合格した喜びよりも、落ちなかった安堵感の方が大きかった。2年間も受験生が家にいることを許してくれた家族に、感謝の気持ちが湧いてきた。

高校3年間かつうら塾に通い、その後1浪の末、目標だった大学に合格した。合格したのは、かつうらで培った英語力と国語力がとても役立ったと確信している。

かつうら塾への傾倒は、友人たちから宗教まがいだと揶揄された。それでも「かつうら教」の信者であり続けたのは、「チュンプルズ」という経典、授業中に配られる「かつプリ」、そして先生自身に宿る不思議なカリスマ性による。

授業では、確固たる構文解析力が学べる。その力は浪人しても役立った。高予備の校内模試では英語は常に上位をキープし、1位(校内偏差値78.1)もとることができた。また、超絶難化したといわれた今年の二次試験も難なく解くことができた。

それだけではない。先生から発せられる言葉は確実に私の一部になっている。実際、先生の影響で、オンライン英会話を始めたし、コロナが収まったら留学も考えている。現状に満足することなく常に自己研鑽を続ける先生の姿は、これからも私の手本となるだろう。

私は浪人という貴重な経験をした。そのよかった点を伝えたい。それまでの私は、大きな挫折を味わうことなく、ある意味、傲慢だった。模試の判定が低かったり、過去問の出来が悪くても、なんとかなると思っていた。自分の学力と志望校とのギャップなど気にせず、目の前の課題だけをこなしていれば受かると思っていた。自分を客観視できる今、昔の私は、悪い意味で自分の才能を過信していた。

プライドが邪魔して、自分のことがよく見えてない人には、ぜひ浪人を勧める。そのメリットを3つ紹介する。

1.浮ついた自己肯定感がほどよいところに着地する

根拠のない自信が消え、目標達成には何が必要かについて現実的に考えるようになる。

2.自己管理能力が向上する

浪人生は、はじめからすべての分野を習得しているので、どのように勉強していくかの計画が立てやすく、それを実行に移しやすい。

3.失敗体験と成功体験の両方が得られる

浪人生が浪人であることを終えるのは、大学が決まったとき。「報われなかった努力」と「報われた努力」の両方を味わうことができる。

映画「ビリギャル」の著者・坪田信貴先生の『才能の正体』という本の中に「才能は後付け」という言葉がある。「天才」は何かを成し遂げたあとにつけられる言葉だと解釈している。

浪人を経験する人もしない人も、自分を妄信せず、計画を立て猛進して欲しい。「妄信」ではなく「猛進」です。

2021年4月16日