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「さんでー毎日」は人を不幸にする――フェヒナーの法則

by 勝浦 郡章

●99%の人が「不幸」を感じている理由

私がフェヒナーの法則を知ったのは、科学者・武田邦彦先生のYouTube動画がきっかけである。武田先生はこの法則を、次のように説明する。

「人が感じる価値や幸福は、絶対的なものではなく、あくまで相対的なものだ」。つまり、人の喜びや満足は、常に「文脈」のなかで変化するというもの。

夏の後の秋の15度は涼しく、冬の後の春の15度は暖かい。秋と春で、同じ15度でも体感はまるで違う。

スポーツの世界でも、金メダルが期待されていた選手が銅メダルだと、その選手はがっかりする。しかし、メダルなど期待されていなかった選手が銅メダルを取ると、その選手は大喜びする。同じ「銅メダル」でも、その価値は人の期待や文脈によってまったく異なる。

たとえば、今日1,000円の寿司を食べるとする。昨日、500円の寿司を食べていたら、今日の1,000円の寿司はとても美味しく感じるだろう。だが、昨日、2,000円の寿司を食べていたら、同じ1,000円の寿司でも、味が劣ると感じるだろう。

武田先生はこう語る。――私は日頃から、できるだけ「不味いご飯」を食べるようにしている。そうすると、自分のなかで、不味いご飯が「基準」になる。すると何を食べても美味しく感じるようになる。自分の生活の基準を実際に可能なレベルよりも少し低いところに置いておく。たとえば、「少し寒い」「少し不味い」「少し不便」「少しストレスがある」を、あえて自分の基準に設定しておくと、毎日の生活が満足のいくものになる。

お金を余計に稼ぐと、余計に稼いだ分だけ、いい生活をしようとする。自分の稼ぐ力が落ちると、生活の基準が下がるから、いつも不満を抱えて生活することになる。1,000円の寿司に慣れてくると、2,000円の寿司が食べたくなる。がんばって働いて収入が増え、2,000円の寿司が食べられる水準になると、それにも慣れてしまい、3,000円の寿司が食べたくなる。

欲望は肥大化し続け、心は満たされることなく、「もっと、もっと」を追い求める。現代人の99%が不満を抱えて生きている理由は、物質的な不足にあるのではなく、肥大化し続ける欲望にある――

●極上の時間

このフェフィナーの法則に照らして、自分の生活を見つめ直してみると、日常の中に確かで揺るぎない喜びが至るところにあることに気づかされる。

私にとって、そのひとつが朝のルーティンである。近所のマクドナルドで、「プレミアムローストコーヒー」と「ハッシュポテト」を注文する。ここで本を読んだり、文章を書いたりしている。この時間は充実したひと時であり、この場所は私の第二の書斎でもある。ネットに掲載する文章や、教室で配布する資料の多くを、ここで手書きで書いている。マクドナルドの空間が持つ、「ちょっとしたざわつき感」と「さりげない他者からの視線」が、驚くほど集中力を高めてくれる。自分だけの世界に没頭できる、まさに「極上の時間」なのである。

では、なぜ極上なのか。その理由は、私の食生活にある。私は午後6時に夕食をとり、それ以降は何も口にしないようにしている。だから、翌朝9時に、マクドナルドで口にするコーヒーとハッシュポテトは、空腹を抱えて味わう最初の「飲み物」であり、「食べ物」なのだ。香ばしいコーヒーの香り、カリッと揚がったハッシュポテトの食感──それらは五感を刺激し、「さあー今日も1日がんばろう」という、決意のようなものが身体から湧き起こるのだ。

午後6時から翌朝の9時までの15時間は、いわばプチ断食である。断食後の食事だから、どんなに質素であっても美味しいに決まっている。まさにフェフィナーの法則なのだ。割り引きクーポンを使うと、値段はたったの270円。それでいて、私に圧倒的な満足とエネルギーを与えてくれる。

●値段と価値は無縁

NHKの番組・『ドキュメント72時間』で、24時間営業の博多ラーメン店が取り上げられていた。値段は激安の290円。とんこつスープに細麺、ネギとチャーシューもちゃんとのっている。深夜2時、近くの道路工事現場から数人の若者たちがやって来る。仕事が一段落したのだろう。そこで味わう一杯のラーメンがもたらす「幸せ」は、容易に想像できる。それは、どんな高級ディナーの味にも引けを取らないだろう。その味は、額に汗して働いた者だけが味わえる至福の味なのだ。

<値段>と<価値>は、まったく別物である。値段が高ければ価値があるとは限らないし、安いからといって価値が劣るわけでもない。砂漠で喉がカラカラに渇いていたら、100円のペットボトルの水は、計り知れない価値を持つ。二束三文のミニチュアカーであっても、持ち主にとっては、幼い日の記憶が宿る、かけがえのない宝物となる。<値段>は単なる数字に過ぎない。だが、<価値>は、人に喜びと幸せもたらし、人生に意味を与えてくれる。

話は飛ぶが、試験における<点数>と<理解>の関係も、同じ構図である。<点数>は他者が勝手に設定した数字にすぎないが、<理解>には、静かで深い自分だけの満足が伴う。思考のプロセスを経て得られる理解の喜びは、数字とは別物である。

●ちょっとしたストレスが日常を輝かせる

マクドナルドで過ごす朝のひと時が、なぜ格別なのかの理由は、他にもある。

レアジョブの「オンライン英会話」を始めて、もう8年になる。思い返せば、スタート当初はストレスと緊張の連続だった。レッスン前になると、ソワソワと落ち着かなくなる。8年前は、そんな毎日だった。

それでも、8年間、1日も欠かさず続けていると、今では、すっかり生活の一部になっている。もちろんストレスが完全になくなったわけではない。8年前のストレスが10だとすれば、今はせいぜい1未満。それでも、決してゼロではない。

私の朝は早い。5時には起きている。そして、起きてからの時間の大半を、オンライン英会話の準備に費やす。英語ニュース記事を読み、シャドーイングで口慣らしをし、頭を完全に英語モードに切り替える。本番の25分間のレッスンを終えると、心にさまざまな感情が広がる。安堵感、達成感、開放感、そして満足感。まだ朝は始まったばかりなのに、まるで1日分の仕事を終えたかのような気分になる。

そして、この一区切りの後に続くのが、マクドナルドの時間なのだ。コーヒーとハッシュポテトが、早朝の格闘の余韻をやさしく癒やしてくれる。ストレスがあるからこそ、このとてつもなく大きな落差が、朝のマクドナルドを極上の時間にしてくれる。

古池や蛙飛び込む水の音――は、松尾芭蕉の俳句である。静寂は、静寂の中にいると気づかない。一匹のカエルが池に飛び込んだときの小さな音で、はっと静寂に気づくのである。

T.S.エリオット(イギリスの文芸批評家)は、こう言う。――生涯において適当なときに適当な友に出会う人は幸いである。また適当なときに適当な敵に出会う人も幸いである。適度な軋轢(あつれき)が文明にとっては必要であり、摩擦が存在している状態こそが、平和のもっとも確かな保証なのだと。

●「さんでー毎日」は、人を不幸にする

私は、世間で言う退職年齢をはるかに超えている。しかし、引退についてはまったく考えていない。なぜなら、毎日が日曜日は、人を不幸にするからだ。明日も、来週も、来月も、来年も休みは、もはや休みの意味をもたない。働いているからこそ、休みは意味をもつ。休みがあるからこそ、今日の仕事をがんばろうとする。仕事が充実するからこそ、休みも充実する。逆もまたしかりである。やがて、両者がともに充実してくると「仕事」と「休み」の境目がなくなり、次第に区別がつかなくなる。仕事が理想の域に近づくのだ。

マーク・トウェインはこう言う――The secret of success is making your vocation your vacation. (成功の秘訣は仕事を休暇にすることである)

私の仕事の大儀は、英語習得に苦しむ「英語難民」の救済にある。この大義が、ミッション・インポッシブルであるがゆえに、仕事という負荷を自分にかけ続けていくことが、自らの人生ともに、他者の人生をも豊かなものにしていくのだ。

2025年6月14日

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