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「猫のキ○タマチ」     

by info@erable.jp

 

パラレルリーディングのすすめ

●1字まちがうと……

授業中、生徒の口から「猫のキ○タマチ……」という言葉が飛び出したことがある。女子生徒の口から出たので、ドキッとした。いったい何を話し出すのかと気をもんだが、すぐにこちらの聞きまちがいだとわかった。

「猫のキ○タマチ」は、
「猫のキエタマチ」(猫の消えた街)のことだった。

「エ」と「ン」を1文字まちがえると、とんでもない意味になる。

「オショクジケン」は、「お食事券」か「汚職事件」か? 「コウジョウノツキ」は「荒城の月」か「工場の月」か? 「フジノヤマイ」は、「富士の病」か「不治の病」か? 音だけを頼りにしていると、さまざまな誤解が生じる。

「富士」と「病」は結びつきにくい組み合わせ(コロケーション)だが、「不治」という言葉を知らなければ、「不治」の代わりに「富士」を連想してもやむをえない。

中国語には促音がないので、中国人は、「酸っぱい」と「スパイ」、「あっさり」と「アサリ」の区別がむずかしい。拗音を持たない母語話者は、「病院」と「美容院」の区別がむずかしい。日本人は、RとLの区別がむずかしい。

こうした聞きまちがいは、シャドーイングをしているといたるところで起こる。まちがいにはパターンがある。まったく聞き取れない場合と、まちがいだとわかっていても、確信犯的に知っている単語に置き換える場合と。

1. 正Nothing about our behavior is sacred.―『速読英単語』セクション39-(1)
誤Nothing about our behavior is secret.

sacred→secretは、音も、意味も似ていて、まちがえても仕方がないミス。

2. 正Words are used mainly for giving information, ―『速読英単語』セクション42-(2)
誤Words are used mainly forgiving information,

for giving→forgivingは、音は同音だが、意味を考えたらありえないミス。

3. 正How about a bagle and cream cheese? ―『英語は絶対、勉強するな!』p34
誤How about a bacon and cream cheese?

ベーグルというパンを知らなかったので、違うとわかっていて、ベーコンに置き換えた確信犯的ミス。

4. 正Mike calls Sarah on the phone.―『英語は絶対、勉強するな!』p93
誤Michel Sarah on the phone.

音のリダクションによって、「マイク・コールズ・サラ」は「マイケル・サラ」という人名に聞こえる。

●文字だけでは、「見えるもの」しか見えない

音源だけを頼りに行うシャドーイングでは聞きまちがいが起こる。では、音源の伴わない文字だけで行う「音読」(oral reading)には、どんな問題があるか。

He liked to umpire a game. 「彼はゲームの審判をするのが好きだった」

この文は、「ヒー」・「ライクト」・「トゥ」・「アンパイア」・「ア」・「ゲイム」と、1語1語をはっきりと発音しているわけではない。likedの-edと、toはつながって1つの「トゥ」になり、umpireの-reと、次に続く冠詞aはリンクして、「アンパイアラ」になる。したがって、ネイティブは、「ヒー」・「ライクトゥ」・「アンパイラ」・「ゲイム」と発音する。

このような音声学的な変化(イントネーション、強勢、リズム、リダクション)は、「韻律」(prosodyプロソディー)と呼ばれていて、いくら目をこらしても見えないし、丁寧に読んでも身につかない。むしろ丁寧に読もうとするとカタカナ読みになり、余計にネイティブの発音とは違ったものになる。

NHKの「ラジオ英会話」には、毎回この韻律を練習するコーナーがある。

What’s your impression of Jonas? 「ジョナスさんについての印象はどうですか」
●   ・  ・  ●  ・ ・ ● ・

impression of は、nが次のofとつながり「impressioノォヴ」のように発音される。
― 「ラジオ英会話」2017年9月13日

Here’s his plan in black and white.  「ここにはっきりと彼の政策が載っています」
●  ・ ● ・  ●  ・  ●

機能語の所有代名詞(his)、前置詞(in)、接続詞(and)は省エネのため弱化され、
文全体のリズムが強弱の連続になる。   ― 「ラジオ英会話」2017年9月14日

こうした韻律は、手本のない我流の音読(oral reading)では、身につけるのがむずかしいが、シャドーイングなどで、音源をそっくりまねることで習得できる。

●導入としてのパラレルリーディング

しかし、音だけをたよりに行うシャドーイングは、かなりハードルが高い。いきなりのシャドーイングがむずかしければ、テキスト付きのシャドーイングを行うといい。文字テキストを見ながらのシャドーイングであれば、上述のような誤解は生じないし、聞き取れな音は文字で確認しながら行える。

「テキスト付きのシャドーイング」は、一般には「パラレルリーディング」と呼ばれているが、以下の呼び名で呼ばれることもある。どれも同じタスクを指している。

・「パラレルリーディング」―――― (parallel reading)
・「シンクロリーディング」―――― (synchronized reading)
・「オーバーラッピング」――――― (overlapping)
・「テキスト付きシャドーイング」― (shadowing with text)

●パラレルリーディングは決してむずかしくない

パラレルリーディングは、目と耳からのインプットに、口からのアウトプットが加わる。3つのタスク(課題)を同時に並列的に行う。こう書くととてもむずかしく聞こえるが、実際にやってみれば、パラレルリーディングはシャドーイングよりもはるかにやさしい。

シャドーイングは耳だけが頼りなので、聞き取れなかったときは、ブツブツつぶやいてごまかすしかない。しかしテキストがあれば、目で文字が追えるので、耳で聞き取れない音声情報は、目による視覚情報で補うことができる。

逆に、初めて見る固有名詞や発音がわからない単語でも、耳からの音声情報で読み方がわかる。視覚情報で欠けた部分と、音声情報で欠けた部分は、目と耳が互いに協力し合い、相互に補完し合ってくれる。

パラレルリーディングでは、シャドーイングのむずかしさが大幅に軽減され、倍と半分に感じるほどやさしく行える。ラジオから流れてくる歌をまねて歌おうとしてもむずかしいが、歌詞カードがあれば楽に歌えるのと同じだと考えればいい。。

実践してわかるのは、目、耳、口のスイッチを、いちいちオンやオフにしているわけではなく、3つの感覚器官はすべて並列的にオンになっている。

ある動作を行いながら、意識を向けなくても行える動作はたくさんある。人は1分間に10数回のまばたきをするが、4秒ごとに、まばたきをしようと意識を向けるわけではない。身体にかゆいところがあれば、眠っていても無意識にかゆいところを掻く。

自転車に乗っているときは、「ペダルをこぐ」「ハンドルを操作する」「ブレーキをかける」「前方に注意を向ける」「ヘッドホンで曲を聴く」「歌を口ずさむ」「肌で風を感じる」を、無意識に並列的に同時に行う。脚、手、指、目、耳、口、肌と、感覚器官は総動員され、脳はマルチに機能する。

●ほんのわずかな成長でも喜ぼう

いま、『速読英単語』のCD(73分)を使って、シャドーイングをやっているが、最初は、テキストを見ながら、パラレルリーディングから始めた。100回目を超えたあたりから、徐々にテキストを見なくなり、自然にシャドーイングに移行してった。

「同時通訳の訓練に用いられるシャドーイングなんて、私には、とても……」と思う人は、パラレルリーディングから始めるといい。

テキストを見ながらのパラレルリーディングでも、最初はギクシャクする。それでも根気よくコツコツ続けていれば、だれでも必ず進歩していく。まちがいなく上達する。継続のコツは、毎回のわずかの成長を楽しむことにある。

なぜ、「パラレルリーディング」が、「オーバーラッピング」や「シンクロリーディング」と呼ばれるのか、ある日とつぜん、その名前の由来がわかるときがくる。CDの音源と自分の声が、ぴったり重なり合い(オーバーラップ)、同調(シンクロ)するようになる。それは驚きであり、快感であり、耳だけでなく身体全体で感じる喜びでもある。

こうしたささやかな喜びが、さらなる継続のエネルギーを生む。自分にはムリだと思っていたことができるようになると幸福感に包まれる。ドーパミンという幸福ホルモンが脳内に分泌されるからだと言われている。

楽しいからのめり込み、楽しいから続けたくなる。くり返しと継続こそ語学習得の王道である。

2017年10月10日

 

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