受験と人生とかつうら

 

     受験と人生とかつうら

匿名希望 滋賀大学経済学部 (2011年・○○高校卒)

<あ、わたし、おわったな>

これは、3年前、県立高校の合格発表のときに、頭に浮かんだ言葉です。目の前で友達同士が抱き合っていました。雨がぱらつき始めても、傘も差さずに帰りました。気がつくと、塾やら制服やらのチラシを両手いっぱいに抱えていました。家族や親戚が、慰めや励ましの言葉をかけてくれても、何の感情も湧かずただうなずくだけでした。

一人になった時も、悲しさは全く湧いてきませんでした。ただ、私の不合格はいまごろ友達に伝わったんだろうなと思うと涙があふれてきました。そして、笑っていました。涙を流しながら「ああ、終わった、終わった」とつぶやき、笑っていたのです。

そして何ごともなかったかのように、「合格おめでとう」と書かれたチラシを全てゴミ箱にぶち込み親の前に行きました。こうして私の高校入試は終わりました。

私立の高校に通い始めてからも、自分がみじめで、情けなくてどうしようもありませんでした。校外模試で校内順位で上位をとっても全然うれしくなく、むしろ惨めさが増すばかりでした。

これが、かつうら塾に通うまでの私でした。

いい大学が人生を決め、その大学は高校で決まるという周りの考えに染まりきっていたのです。そしてそれができなかった自分は、すべてが「終わった」と思っていたのです。

1年の春に塾に通おうと思いましたが、どの塾も公立高校別、レベル別という区切りで、私立の生徒は学力によって適当に振り分けられ、大勢の公立高校生の中で授業を受けさせられる。しかも先生は、私立高校生のことをボロクソに言うという現状を友達から聞いて、二の足を踏んでいました。

そうこうするうちにかつうら塾のことを知りました。先生の手腕はもちろんのこと、個人塾で、クラスも学年別なだけということもあり、行ってみることにしたのです。

勝浦先生は、学力レベルはもちろん、どこの学校であるかなど一切気にせず、「どこの高校でしたっけ?」と聞いてくるほどでした。先生の授業スタイルは、ほかのみなさんの体験記でよくわかると思います。オリジナルテキストを使った精緻な英文読解の授業です。

私が特に驚いたのは、大学受験やさらにそこからのさきの人生についての先生の考え方でした。大学受験のための勉強を教えながらもそれ以上のことを教えてくださり、「センター試験には反対です」「大学なんかで人生は決まりません」という芯の通った考えに私は救われたような気がし、同時に今までの自分が恥ずかしくなりました。

かつうらで考え方が180度変わったという人もいますが、私はこの塾で、ある一方向だけの視野、狭い視野が、自分を中心として同心円状にぶわっと広がったイメージがあります。いくつもの視点、広い視点で見ることができるようになりました。

それと同時に物事の本質を見ようとするようになったと思います。それは英文解釈と同じだと思います。いくつもの英単語が連なる長文も、[ ]や( )で整理していくと数単語しか残りません。それらの単語が文章の本当の核心であり、SVOCが浮き出てくるのです。物事の考え方もたぶん同じで、周りの評価、価値観といったものを取り除いていったあとに本質が見えてくるのだと思います。

「君たちは小さい、ほんとに小さい人間です」

これは先生の言葉の中で特に印象に残っているものです。「受験勉強を中心に、小さな価値観の中でいきている、小さな人間です」。それはまさに私のことであり、おそらく大勢の受験生のことではないでしょうか。

毎時間の先生の話、それに最高の参考書であるチュンプルズに載っている、成功体験だけでなく不合格や浪人生のことまで書いてある体験記で、私の考え方は確実に変わりました。

いやだった高校も丸亀町理論で「悪い点」ではなく「良い点」を見るようにしました。すると学校に対する思いが変わりました。この学校だからこそ得ることができたものがたくさんあります。それまで関わらなかった先生も、相談してみると私一人のために何回も何時間も個人授業をしてくれ、丁寧に添削や解説をしてくれる先生でした。

こうして学校とかつうら塾だけで大学受験に挑みました。受験のとき持って行った英語の参考書はチュンプルズだけで、試験前にはパラパラとめくっていました。結局、国公立大学に合格しましたが第一志望校ではありません。しかし、大学がすべてではないという先生の言葉が私にはあります。この大学で何が得られるかは未だわかりませんが、第一志望でないからといって無駄なことは絶対にないはずです。

ここまでつらつらと書きましたが、なんだかんだで私はまだまだ何も分かっていませんし、知りません。先生が伝えようとしてくださったことも少ししか理解できていないでしょう。この体験記を改めて読んだ時に「なに言ってんだよ、私。小っせえな!」と笑い飛ばせるようになりたいものです。

最後になりましたが、私を大きく変えた下さった勝浦先生とかつうら塾に感謝します。本当にありがとうございました。

2011年6月9日