人間万事 塞翁が馬

 

   人間万事 塞翁が馬

M・T 東京外国語大学外国語学部ビルマ語学科3年 (2011年・高松一高卒)

かつうら塾に入塾したのは、高校2年生のとき、評判を聞いて、自分の英語力を試したいという思いからだった。当時、英語は得意な教科で、それなりに自信があったものの、かつうら塾に入学してみると、まったく授業についていくことができなかった。自分自身の英語力が、ある種、勘のような不安定なもので成り立っていたことに気づかされ、その衝撃は今でも覚えている。

しかし、かつうら塾に通って分かったことは、英語ができるようになるための方法は、まったく単純なもので、チュンプルズを片手に、授業の予習復習をただただ真面目にやることだけなのである。これほど簡単に、効率的に英語力をつけることのできる場所はかつうら塾以外に存在しない。かつうら塾において、予習復習の努力は絶対に裏切らない。毎回の授業の予習復習の積み重ねが、確実な英語力となる。私自身、下の学年の授業にも参加し、予習復習を欠かさずやっているうちに、授業にもついていけるようになり、模試でも安定的に結果を出せるようになった。

かつうら塾の授業は、文の構造を精密に読み解くハイレベルなものだ。かつうら塾で英語を鍛えれば、大学入試で、大きな力になることはもちろん、大学入学後も自信をもって授業に臨むことができ、英語にあまり接する機会がなくなり、英単語を忘れていったとしても、根本の英語力の部分は衰えない。

そして、何と言っても、かつうら塾の魅力は、英語を学べるだけではないというところにある。勝浦先生から、毎日届くメッセージ、また授業初めに行われるスピーチ、授業中の先生のお話、すべてに意味がある。

塾を卒業して4年経った今でも先生のお話を、日常生活でふと思い出す。落ち込んでいるとき、日常の小さな幸せを見つけようと心がけるようになったのも、困難にぶちあたったとき、「どうして自分はできないのか」ではなく「どうしたら自分はできるか」と、自分自身に前向きな問いかけができるようになったのも、先生のおかげだ。先生の授業は、大学受験合格という目先の目標のためだけではなく、もっとその先の私たちをも想定していたのだといま感じている。

私が大学に入学して、早いものでもう4年目となった。私の専攻はビルマ語だ。センター試験後、偶然テレビで、ミャンマーで活動する日本のNGOの番組を見て、なんとなく興味をひかれ、東京外国語大学のビルマ語専攻を決めた。行き当たりばったりな大学、専攻選択ではあったが、大学でたくさんの人々と出会い、刺激を受け、ミャンマーという国の魅力を知り、大学2年生という早い段階で、大学を休学し、1年間のミャンマー滞在を決めた。1年間の滞在中、現地のホテルやレストランでインターンシップをし、ミャンマー人たちと働いたり、私がビルマ語専攻を選ぶ決め手となったNGOの活動にもビルマ語通訳として参加したり、多くのことを経験した。帰国後も、ミャンマーの新聞の翻訳や、ミャンマー語の簡単な通訳のボランティアをしている。

私は第一志望の大学にはいくことができなかった、いわゆる大学受験を失敗した側の人間だ。しかし、今の大学、専攻に進んだことは、大成功であったと思う。大学受験合格がゴールではない。大学に入学して、そこで何を得るのか、何を経験できるのか、また、その先なにをするのかが重要だ。

もうすぐ私は就職活動をはじめる。運がいいことに、ミャンマーはここ数年で民主化が急激に進み、日本だけではなく世界から注目を集め、ビジネス的にもいま最も熱い国だと言われている。私自身の就職もミャンマー関係になる可能性が高い。しかし、人生なにが起こるか分からない。高校時代、大学で、まさかビルマ語を勉強するとは全く思っていなかったし、そのうえミャンマーに1年滞在するなんて、予想できなかった。就職活動をし、ミャンマーとはまったく関係のない職業につき、また予想だにしない新しい出会いもあるかもしれないと、楽しみ半分、不安半分の状況だ。

いま、かつうら塾に通っているみなさんは、以前、私自身そうであったように、第一志望大学合格だけを目指して、精一杯になっているかもしれない。しかし、大学受験合格がすべてではないということ、失敗から広がる可能性もあるということも、頭の片隅に置いて、恐れずに気楽に、自信を持って進んでいってほしいと思う。

2014年11月14日