小学1年生

 

   小学1年生

O・M 日本大学理工学部 (2016年・高松高校卒)

ピピピピッピピピピッ……。

午前6:30。朝日の差し込む部屋に、突然アラーム音が鳴り響く。目覚まし時計のアラームではない。90分間の早朝学習の終了を告げるキッチン・タイマーの音だ。

5:00起床。6:30までは誰にも邪魔されない私の勉強時間。その後は、身支度をしながら英語を聞いている。TEDを聞きながら、着替えをし、朝食を作る。ご飯に味噌汁、それにベーコンエッグがお決まりの朝食。TEDの次は、NASAの番組を聞き流しながら、ハミガキをしてメイクをする。出かける準備が整ったら、アパートの周りの掃き掃除をする。それから早めに大学に行く。大学生になってからずっと続けている私の朝のルーティン・ワークだ。

「私の朝は、英語のシャワーを浴びて始まる。これで1日が気持ちよくスタートできる」。かつうら先生の言葉だ。どんな日も欠かさず早朝に英語のシャドーイングをして、ラジオ英会話を聞いて、……と、まるで受験生のような生活を、かつうら先生は送っている。そんな話を聞くと、受験生である私も見習わずにはいられなかった。大学生になった今も、私の中でそれが続いている。先生には感謝しかない。私がこんな素敵な朝を迎えられるのは、かつうら先生に出会うことができたからだ。

かつうら塾には、英語の他に、人生を変えてもらったことがある。それについて語るのに、なくてはならないのが、授業中に配られるプリントである。私は、勝手に『かつプリ』と名付けている。

その『かつプリ』で見たあるフレーズで、私は自分の夢がはっきりした。「自分がなれないとさえ思わなければ、社長にでも、総理大臣にでもなれる。社長も総理大臣も同じ人間なのだ。自分で境界線を引かなければ何にだってなれる」。その言葉を聞き、「ロケットの設計者」で止まっていた私の夢は、「宇宙飛行士」になった。

かつうら塾では授業前にクッシュボールを持って英語でスピーチをする。4年間これを続けたおかげで、人前でのスピーチにかなりの自信がついた。8分間の英語のスピーチをみんなの前でプレゼンするという大学の授業の課題では、ぶっちぎりの票数でベスト・スピーチ賞をもらった。

かつうら塾はすごいのだ。何より先生がすごい。いつまでも向上心を持ち、毎日やるべきことを継続する先生は、私にはキラキラ輝いて見えた。先生の学ぶ態度こそ、大学生のあるべき姿だと思う。かつうら先生が大学生なら、高校生の私は幼稚園児だった。今は、少しでも先生に近づこうと一歩を踏み出したばかりなので、よちよち歩きの小学1年生ぐらいだろう。

受験期の授業中、かつうら先生がおっしゃっていた言葉がある。「どこの大学へ行こうと関係ない。人の一生は大学では決まらない」。その意味をなんとなく理解しつつも、本当はどうなんだろうと思っていた。前期日程の大学、中期日程の大学、後期日程の大学に落ち、すべり止めの大学に入った。半年が経ち、その疑問に答えるとすれば、どこの大学に行くかは、どうでもいいということ。正しいかどうかは分からないが、そんなこと考えなくていい、ということである。

人は、きっとどの大学へ行っても幸せになれるだろう。人生は大学なんかに影響されない。実際、私も今がとても幸せだ。大学には同じ境遇の友人もいて、切磋琢磨しながら勉強している。かけがいのない友人もできた。先日は彼らを香川に案内した。確かに、この大学でよかったのかな、と思うこともある。しかし、逆にその思いがやる気のモチベーションになっている。志望校に合格した高校の友人の話を聞くと、毎日遊んでいる人がたくさんいるという。もし志望校に合格していたら、私もその中の1人になっていたかもしれない。その意味でも、私はこの大学で本当によかったと思っている。

入学してすぐ、大学教授がこんなことを言っていた。「生きて従う生徒ではいけない。学んで生きる学生になれ」。大学では、すべて自ら進んでやらなくてはいけない。大学生になって初めて、親の偉大さに気づいた。高校生という環境のぬるま湯に気づいた。自立していない自分に気づいた。今は、夢を叶えるべくいろいろなことに自から挑戦している。

大学の文化祭で催される英語のスピーチコンテストに応募したり、教授のところへ個人的に話を聞きに行ったりした。そのおかげで、宇宙飛行士選抜試験の最終選考まで残った教授とお話することができた。宇宙飛行士の採用を担当しているJAXA職員の名刺をもらうこともできた。これからも夢に向かって、自分からアクションを起こしていきたい。

最後になりましたが、かつうら先生、4年間本当にお世話になりました。勉強に対する姿勢も、これからの人生をどう送っていくかも先生に教わっていなかったら、と思うと恐ろしくなります。私もかつうら先生のようにキラキラした人になりたいです。本当にありがとうございました。

『かつプリ』で見つけた私のお気に入りの言葉を、後輩の皆さんに贈って、この体験記を終えたいと思います。

「どんな過去も、私の未来には敵わない」

2017年9月4日