受験の向こう側へ

 

     受験の向こう側へ

H・T  岡山大学医学部 (2005年 丸亀大手前高校卒)

「受験で成功することはその人の幸せには一切関係がない」。これは勝浦先生が度々言っていた言葉です。社会に出れば、もっと苦しいこと、つらいこと、楽しいことが津波のように押し寄せてくる。受験という特殊で狭い世界でじたばたするよりも、大切なことがあるだろう。

こんなメッセージがいつも授業から伝わってきました。時には授業中に新聞の切り抜きや、小説や新書の一節が配られ、社会に対して強烈な主張や意見を述べていました。それを通して、僕の中にも受験からもっと広い視野へのシフトチェンジが起こったように思います。日本には今も増え続ける天文学的な額の借金があり、少子高齢化が進み、食料自給率も非常に低い。中国やインドなどが発展すれば、石油が枯渇しエネルギー問題も起こるだろう。このような問題をはらんだ世界で自分に何ができるのか?このような視点をもてたことは僕にとって進路選択においても非常に意味がありました。

また、先生は今の人が忘れかけていることを思い出させてくれます。約束を守ること。遅刻をしないこと。身体の持つ感覚を大事にすること。直接話したり、手紙を送る機会が少なくなり、携帯電話やメールへの転換が起こる中で、一見古くさいと思えるような価値の再発見をすることができました。人と人とのつながりを大切にする勝浦先生はまさに現代の諸子百家と呼ぶことができると思います。

英語の勉強について言うと、なんといってもチュンプルズです。見開きに重要事項が網羅されたチュンプルズは、視覚にうったえてくる構成で、これと英文の音読が合わされば、勝浦流身体活用英語(読んで字の如し)は免許皆伝です(笑)。具体的にいうと、電車の待ち時間や、テレビのCM中にチュンプルズをパラパラめくったり、カッコでいっぱいの英標を10回以上読むようにしました。あとは、携帯の「単語王」というサイトで語彙を増やしたくらいです。いずれにしろ、英語は細切れの時間を使って集中的に勉強しました。

僕が英語のみならず、勉強で気をつけていることは二点です。つまり、「覚えたことを忘れない」「間違えたことを繰り返さない」ということです。これにはチュンプルズがヒントになっています。暗記とチェック機能を同時に果たすチュンプルズはこの二点の実践に、絶好の教材です。これに触発されて、物理と化学でもmyチュンプルズを作ったくらいです(笑)。物理は単位(wbなど)や単語の定義(位相とか定積モル比熱など)、公式の導入をルーズリーフにまとめています。化学は「照井の解法カード」という本の別冊を拡大コピーし、26穴ファイルに閉じて、足りなければルーズリーフで補足して完成。さらに、前日やった問題は必ず白紙の状態で解き直し、それでも駄目なら壁に貼って覚えます。どんどん進みたい気持ちを抑えて復習に目を向けることも必要だと思います。

このように考えると、勝浦塾は知らないうちに僕の価値観や勉強の姿勢に影響しているのだなあと思います。多くを語らずして自分で考える姿勢を身につけさせる。こんな勝浦先生はまさにスラムダンクの安西先生のような人と呼ぶことができると思います(笑)。

最後に、僕が入塾して、まだみんなとなじめていなかった時期に、気さくに話しかけてくれ、よきライバルとなり、東京外大へ進学したY田K太郎君には本当に感謝しています。先生ともども、ありがとうございました。