2度の退塾

 

     2度の退塾

M・R 島根大学生物資源科学(2019年・大手前高校卒)

入塾の面談の帰り、クルマの中で母はすすり泣き、息子の僕は唖然として開いた口がふさがらない状態でした。皆さんはこの状況を見てどう思うでしょうか。

これは僕が高校1年になって、かつうら塾に入塾を断られたときのことです。挨拶もそこそこに、かつうら先生は開口一番、「キミ、やる気ないだろう。お母さんに無理矢理ここに連れて来られたんだろう?」

その通りでした。塾に行く気など、さらさらありませんでした。母には逆らえず嫌々で、入塾の面談に来ていました。「やる気もないのに来る必要はない。やる気になったら来たらいい。今日は帰ってください」。市内からクルマで30分かけてやってきた面談は、ものの5分足らずで終わりました。

これを聞いて、母はその場でどっと号泣しました。僕はというと、ホッとした気持ちの反面、頭のなかが真っ白になりました。どんな塾でも、「今はやる気がなくても、とりあえず入塾して、学んでいるうちにやる気になりますよ」というのが、常套句だと考えていたからです。

これまで、母の言う通り塾に行き、母の期待に添うように勉強し、母の思い通りに振る舞ってきた僕にとって、この出来事は衝撃的でした。

一瞬で僕の心の奥底を見抜いたこの塾は何か違う。普通の塾ではない。僕にとって何かを変えてくれる塾かもしれない。そう思って、入塾を決意しました。しかし、今まで、やる気も出さず、へらへらとやってきた僕は、すぐに壁にぶち当たることになります。

昼間、学校で嫌なことがあり、だるいなと思いながら、不機嫌極まりない顔をして授業を受けていました。そのとき突然、先生に帰るように言われたのです。そして、もう来なくていいとも言われました。

その時、僕はなんで自分が悪いのか冷静に判断できず、こんな塾やめてやると思いました。先生にはこう言われました。「キミの不機嫌を、この教室にまき散らすな。学校で何があったかは知らないが、ここにいる生徒には何の関係もない。不機嫌をコントロールできないのは知性がないからだ」

帰宅して、いきさつを振り返ってみると、先生が言っていることは正論で、おかしなところは何もありませんでした。僕のせいで周りの生徒のモチベーションを下げていたことに気づきました。一時、退塾ということになりましたが、後日、原稿用紙3枚の反省文を書いたら、復塾を許されました。

このような2度の退塾を経て、僕の中で考え方や態度は180度かわりました。へらへらした自分であっても、そういう自分を受け容れられるようになりました。かつうらで身につけたことは、英語以外でも必ず役に立つと思います。かつうら塾で過ごす時間を生かすも殺すもあなた次第です。

最後に、せっかくの高校生ですから、勉強だけでなく友達との遊び、恋人とのあれやこれや、心ゆくまで楽しんだ方が絶対いいです。そうでないと、数年後、後悔することになると思います。そちらの方面も頑張ってください。

2019年03月28日