いまこそオンライン英会話を
オンライン英会話のすすめ(10)
●給料に2倍の差
10年前の卒業生からチュンプルズを送って欲しいというメールが来た。上場企業に勤める女子からで、海外赴任の候補に挙がっているという。OBのチュンプルズへの信頼は厚い。いまでも古い卒業生からチュンプルズの送付依頼が届く。
ビジネス書にこんなことが書いてあった。「日本語だけでしか仕事のできない人と、日本語に加えて英語ででも仕事ができる人とでは、労働市場の価値には倍の開きがある」とあった。つまり給料に倍と半分の差があるということ。
学校の教師は英語がしゃべれるかどうかでに給料に差はない。しかし、ただ単にしゃべれないというだけで、肩身の狭い思いをしている教師は多い。帰国子女や早期英語教育で英会話が達者な高校生が増えている。そんな生徒に対して劣等感を感じている教師もいる。本来はコンプレックスを抱く必要などないのだが。
そうはいっても、ビジネスや英語教育の世界に身を置くなら、英会話の呪縛からは逃れられない。書店には、「3週間で」「3ヶ月で」といったタイトルの英会話速習本が並ぶ。「聞き流すだけで」のキャッチコピーのリスニング教材は30年以上も前からある。しかし、もしキャッチの内容が本当なら、CMなど必要ないだろうし、日本中が英語ペラペラになっているはず。
●世間の誤解
英語ができたら、道案内ができる、字幕なしで映画が楽しめる、と世間は気楽なことを言う。しかし、外国人に道を尋ねられることなど、普通の人は一生に一度もないはず。それに英語で道案内をするのはかなりレベルが高い。日本語であっても、口頭で行き先を説明するのは一苦労する。ためしに、近所のA地点からB地点へ行く道筋を日本語で記述してみるといい。国語力がなければ相当ひどい文章になるだろう。
字幕なしで映画を楽しむのも至難の業(わざ)。日常会話ぐらいはできたらと言うが、ありとあらゆる話題が飛び出てくるのが日常会話。これほど難しいものはない。私が受講しているオンライン英会話で扱う教材はニュース記事。ここ数日のトピックは、「マクドナルドの環境への取り組み」「スイスの教育への予算増額」「氷河期の人類のサバイバル」「鉄分と肺疾患との関係」「エジプト最古のピラミッドの公開」と何でもあり。
こんな話題について、即興でネイティブとやり合うのはきつい。毎回の予習は欠かせない。スムーズな受講になるように、予習にはたっぷり時間をかけている。
●毎日しゃべる
オンライン英会話を、今ではしたり顔で人に勧めているが、取りかかりのハードルは私にも高かった。昔、何度も迷ったあげく、結局、オンラインではなく、近くの英会話学校に通うことに決めた。申し込みを終えると、翌日、経営者から電話があり、「あのかつうら先生では?」「同業者はお断りしています」と、にべもなく門前払い。
そんないきさつを経て、オンライン英会話を始めて2年半になる。受講回数は950回を超えた。振り返ると、最初の1週間は慌てふためくことばかり。それでも、続けてさえいれば何とかなるもので、最初の頃のストレスが100だとすれば、今では10以下になっている。
言葉は生活そのものだから、毎日しゃべる環境がなければ、しゃべれるようにはならない。以前はしゃべれても、しゃべるのを止めれば、すぐにサビついていく。
レッスンは1日も欠かさないようにしている。とは言っても、風邪を引いたり、旅行などで休んだことはある。そんな時は、レッスン・チケットを新たに購入し、欠けたレッスン分の穴埋めをしている。したがってカレンダー上は無欠席になっている。どこかで何かしらの歯止めを作っておかないと、なし崩し的に休んでしまうことになるからだ。日本にいて、日常的に英語をしゃべる必然性などないから、継続するには工夫がいる。
●語学学習は後ろ向きでは成功しない
三単現Sは、中学で習う基本英文法だが、実際の英会話ではつまずきまくっている。
会話では、相手の話を受けて、さまざまなことが瞬時に頭の中を駆け巡る。「返答はこう」「使う単語はあれとこれ」「英文の組み立てはこれで」。こんなことに意識は集中するから、三単現Sのことなど、どこかに飛んでいってしまう。
後で録音した会話を聴くと、ミスは三単現Sにとどまらない。時制の一致もダメ、構文もダメ、単語のコロケーションもヘン、しゃべり方もいまいち、とミスを挙げれば切りがない。
英会話で沈黙は禁物。3秒も沈黙が続いたら、会話として成り立たない。そう考えると、「単語」「発音」「文法」「英文」「コンテンツ」といった発話に関する一連の言語処理を、脳はコンマ何秒かで行うのだから、その機能はすごい。実際、レッスンの後は、毎回、脳細胞が目一杯まで活性化されたような高揚感を味わう。
欠点に焦点を当てるとイヤになる。欠点ばかりに目を奪われていると前に進まない。英会話は、「必ずできる」という強い信念と、ミスを受け入れる寛容な「自己肯定感」を持ち続けないと上達しない。
絶望的と思えた三単現Sの問題も、2年以上も英会話を続けていると、ずいぶんと改善されている。脳のどこかで自動修正機能が働くのだろう。
●朝は英語モードにギヤーを入れる
私の朝は充実している。英会話のレッスン開始は午前8時。レッスンの3時間前には起きるので、予習の時間はたっぷりある。早朝だから来客も電話もない。目にするのも、耳にするのも、口にするのも英語だけ。起き抜けの真っさらな頭は完全に英語モードになる。8時からのレッスンで、朝のルーティーンを締めくくる。一つのプロジェクトをやり遂げた満足感に浸り、脳細胞は全開する。申し分のない一日のスタートになる。
コロナ対策の外出規制で家で過ごす時間が長い。生活のリズムを保つのがむずかしい。こんなときにこそオンライン英会話を始めてはどうだろう。
考えていても始まらない。明日はやって来るが、「いつか」という日は待っていても来ない。エイヤッーで、水に飛び込むしかない。水に飛び込まなければ、永遠に泳げるようにはならない。
2020年5月6日